フィルムの種類と選び方
先日、久々にフィルムカメラを使ってからフィルム熱が新たに再燃している今日この頃。今日はフィルムカメラをこれから始める人たちに向けてフィルムの種類と選び方を解説します。最近は若い人たちの間でフィルムカメラが流行っているということで、フィルムを知らない世代にもわかるようにフィルムの仕組みもお話します。
フィルムカメラのメリットとは?
たくさん撮影できるデジカメとは違い、フィルムには24枚撮りや36枚撮りといった撮影枚数に制限があります。そのため、容易にシャッターを切ることはしないので、一枚一枚の撮影に時間がかかります。デジカメと違ってフィルムカメラは構図、露出、ピント合わせと一枚の写真を撮るまでのアプローチがたくさんあります。一枚の撮影に時間がかかることで、その時の空気感や感じたことなど、五感の感覚までも写真に記録されることがあります。思い出の情報量の多さがデジカメで撮った写真とは全く異なります。
フィルムの仕組み
フィルムは透明なベース素材に写真用乳剤を塗布したもので、写真用乳剤が光を受けることで光化学反応を起こします。この写真用乳剤の違いによってフィルムの色味や個性が変わってきます。撮影が終わるとフィルムを写真屋さんに持っていき、現像処理をしてもらうことで化学反応を起こした部分の画像がフィルムに現れます。現像されたフィルムからは写真ペーパーに焼きつけてプリントしたり、データ化してCD-Rに書き込みしたり、スマホへデータ転送をすることができるようになります。
フィルムの種類
フィルムの形状で分類すると大きく3つに分かれます。
◉ 35ミリフィルム
一般的に多く使われているフィルムが35ミリフィルムです。フィルムの両はしにはパーフォレーションと呼ばれている穴が空いていて、カメラ内部の歯車と噛み合わせることでフィルムを一枚づつ巻き上げることができます。このパーフォレーションも含めてフィルムの幅が35ミリなので35ミリフィルムと呼ばれています。日本工業規格では135ミリフィルムと分類されています。「ライカ版」や「フルサイズ」と呼ばれることもあります。24枚撮りや36枚撮りが一般的です。
◉ ブローニーフィルム
中判カメラに使用される約60ミリ幅の35ミリよりも大きなサイズのフィルムです。120フィルムとも呼ばれます。二眼レフやバケペンと呼ばれているペンタックス67、トイカメラのホルガなどで使用されます。いろんなフォーマットがあり、6×4.5、6×6、6×7などの画面サイズがあります。撮影枚数は6×4.5cmが16枚、6×6cmが12枚、6×7cmが10枚です。
◉ シートフィルム
大判カメラに使用されるフィルムです。蛇腹のついた大きなカメラで、リンホフやジナーというカメラメーカーが有名です。シートフィルムは4×5インチ(シノゴ)、5×7インチ(ゴーナナ)、8×10インチ(エイトバイテン)などがあります。
フィルムの選び方
フィルムには白黒フィルムとカラーフィルムがありますが、カラーフィルムはネガフィルムとポジフィルムの2つに分かれます。ネガフィルムは現像すると画像の明暗と色味が反転しています。つまりネガ画像(ネガティブ、陰画)で仕上がるカラーフィルムのことです。写真ペーパーにプリントする時や、データ化するときに明暗と色味が視覚と同じように仕上がります。ポジフィルムはリバーサルフィルムと呼ばれることもあり、現像するとネガフィルムとは逆に明暗、色味が反転していないのでポジ画像(ポジティブ、陽画)で仕上がるカラーフィルムのことです。現像後のフィルムは視覚と同じように仕上がります。
上が現像後のネガフィルムで下が現像後のポジフィルム
次に一般的によく使われていて、現在でも入手可能なフィルム一覧です。(2021年6月現在)
【35ミリカラーフィルム】
現像は写真店でスピード仕上げが可能。スマホ転送のサービスもあり、フィルムの値段も安めなので一般的な用途には最適です。
・FUJIFILM SUPERIA PREMIUM 400
・Kodak ColorPlus 200
・Kodak UltraMAX 400
【35ミリポジフィルム】
現像は日にちがかかり現像代も少しお高め。色の発色は強くコントラストも強め。露出寛容度が狭いので適正な露出で撮影する必要があります。露出の勉強をしたい人や、現像後のフィルムをそのまま鑑賞したい場合におすすめです。
・FUJIFILMフジクローム 135 Velvia 50
・FUJIFILM 135 PROVIA100F
・Kodak エクタクロームE100
【35ミリ白黒フィルム】
カラーフィルムのように色が付いていないので光の濃淡、白から黒の階調だけで表現するフィルムです。カラー写真にはない世界を撮影することができます。
・FUJIFILM 135 ACROS100 II
・ILFORD XP2スーパー400
・Kodak T-MAX100(TMX)
フィルムは失敗だらけ!注意点は?
最後にフィルム写真でのよくある失敗例をあげておきます。
【光カブリ】
撮り終わったあとフィルムの巻き戻しをするのを忘れてカメラの裏蓋を開けてしまうことがあります。そうなるとフィルムに不要な光が当たってしまい、光カブリといって写真が真っ赤になったりします。せっかく撮った写真をダメにしないためにもカメラの裏蓋を開ける時は慎重にしましょう。
【巻き上げ不良】
フィルムを入れたあと巻き上げレバーが軽く感じる時はフィルムがうまく巻けていない可能性があります。
【ピント不良】
レンズにはそれぞれ最短撮影距離というものがあります。手持ちのレンズが何センチまで被写体に寄れるのか確認しておきましょう。つい被写体に近づきすぎてしまうこともあり、現像後に見たらピントがぼけぼけだったということもあります。
現像するまでどんな風に写っているかわからないのがフィルムカメラの醍醐味でもあります。ピンボケ写真だって「味」になる時もあります。失敗も楽しみながらフィルム写真にチャレンジしてみてください。