測光モードを使い分ければ逆光でも失敗なし!
測光モードってなに?と思われる人も多いと思います。とても地味な設定なんですが知っているととても便利な機能です。
測光=光を測るということです。
カメラはオートで撮影すると、適正な明るさになるように絞り値やシャッタースピード、ISO感度を自動で判断してくれる機能があります。これをAE(Auto Exposure)と言い、自動露出という意味になります。最近のデジカメはとても頭が良く、この自動露出のおかげでいつでも最適な明るさできれいな写真を撮ってくれるんですね。しかし自動露出でも苦手な状況があり、思ったような明るさにならないこともあります。
そこで今回は測光モードとは何か?を理解し、最適な明るさや自分の意図する明るさで写真が撮れるように測光モードの使い分けについてお話します。この測光モードの設定は普段マニュアル撮影をする人や露出補正を使う人には不要な機能です。一般的にPモード、Aモード、Sモードで撮影している人はぜひ測光モードを使い分けてみてください。
測光モードの使い方
測光モードは一般的に3つの測光方式があります。
◎多分割測光(評価測光、マルチパターン測光)
カメラ の画面全体を測光します。画面全体の光を分割して測光し、写真の明るさが決まるので明暗差のバランスが良く、見た目に近い明るさで撮れます。最近のカメラでは明るさだけではなく、色や距離も測ることで最適な明るさにしてくれます。いろんな撮影状況に対応できるので、普段は多分割測光の設定をおすすめします。カメラ初心者の方はこちらの設定から始めましょう。逆光時や、画面内に明るい部分と暗い部分が混在している場合は多分割測光は向いていません。
◎中央部重点測光
画面の中央部分だけ測光します。画面の真ん中のみ最適な明るさになります。日の丸構図のように、主題となる被写体が画面真ん中にある場合に有効です。昔のフィルムカメラはこの測光方式が多くのカメラに採用されていました。
◎スポット測光
画面の狭い範囲(1〜2%)の部分だけ測光します。逆光時や画面内の明暗差が激しい時に便利な測光モード。測光範囲がとても狭いので測光する場所がずれると露出の変化が大きくなってしまうので注意が必要です。逆光時の人物撮影の時に顔が暗くなってしまうときはスポット測光が有効です。マルチパターン測光で暗すぎたり明るすぎたり場合はスポット測光に切り替えると使いやすいです。
◎ハイライト重点測光
これは特定の機種にだけ採用されている測光モードになります。画面内のもっとも明るい部分を自動で認識し、白とびを防ぐ測光モードです。白とびしやすい被写体や撮影状況の場合に有効な測光モードです。具体的な使用例としては、スポットライトが当たる舞台撮影では人物の顔が真っ白にとんでしまいがちです。ハイライト重点測光で撮影すると顔の白とびを防ぐことができます。ソニーのα7Ⅲやα7R Ⅳ、ニコンZ6、Z7、パナソニックS1Rなどに搭載されています。
スポット測光で逆光も怖くない!
多分割測光や中央部重点測光は使い分けてもさほど大きな露出変化はありません。どちらのモードで撮影しても似たような明るさに仕上がることが多いです。しかしスポット測光は露出の変化が大きいので写真の印象が大きく変わります。測光する場所によって明暗差がでるので、作品の雰囲気を大きく変化させることができます。ぜひ試して欲しい設定です。使えるシーンとしては光の明暗差が大きい撮影状況のときなので、舞台撮影やライブ撮影など、スポットライトが多用されるシーン、室内から窓の外の景色を撮るとき、そして逆光で人物を撮影するときです。逆光で撮影して、人物の顔が真っ暗になってしまったという経験は誰もが一度はあるかと思います。実際に逆光の状態で撮影してみたのが下の写真です。
多分割測光では画面全体を分割して測光し、明るさが決まります。
多分割測光で撮影した結果、このように被写体が暗く写ってしまいました。次はスポット測光に切り替えて被写体に合わせて測光しましょう。
スポット測光にすると被写体の一部分だけ測光して明るさが決まります。
スポット測光の結果、選択されたスポット部分だけを測光し明るさが決まるので被写体が適正な明るさになりました。
地味な機能だけど知っていると便利!AEロック
またスポット測光を使う時に必須な機能がAE-L(AEロック)です!!
カメラ についているAE-Lというボタンを見たことがあると思います。なんのボタンだろう?と思われている方が多いと思います。AE-L(AEロック)とはカメラのアングルを変えても露出の設定を変えずに撮影する機能を言います。自動露出(AE)で撮っている場合、測光する場所によって明るさが変わってしまうので、AEロックボタンを押して自動露出をロックするということです。つまり被写体の特定の部分を測光して露出を決め、その露出をキープしたままアングルを変えて撮影できます。
スポット測光を使うとき、フォーカスポイントと測光ポイントを連動させることができる機種は問題ありませんが、一部のカメラ(EOS R、EOS 5DMark Ⅳ、α7II など)はスポット測光の測光範囲が画面中央部分に固定でフォーカスポイントと連動してない場合があります。また測光したい部分とピントを合わせたい場所が異なる場合もAE-L(AEロック)を使いましょう。
スポット測光の位置とフォーカスポイントが連動していない場合は、コーヒー缶の部分でスポット測光で測光した露出をAEロックボタンを押して固定します。そのあと露出を固定したままフォーカスを合わせます。
そうするとコーヒー缶が最適な明るさで写り、ピントも合った写真が撮れます。
少し難しい内容でしたが、何度か実践していくと理解でき、覚えると便利な機能だと思います。地味な機能も使いようですね。ワンランク上の写真が撮れるようになりますよ!