トリミングについてのあれこれ

先日、写真のアスペクト比についてその重要性をお話しましたが、今回は写真の「トリミング」についてまとめてみました。アスペクト比と同じく、トリミングも写真の作品性を高めるうえで重要ですね。

トリミング

 

トリミングとは?

 

フィルム時代から使われている写真用語です。撮影時に写真のフレーム内に写り込んでしまった不要なものや、写真の一部分をカットすることで見せたい主題を強調し、作品の完成度を高めることを言います。写真のアスペクト比を変更したり、構図の微調整にも使われます。トリミングをすることで画面全体に安定感が出たり、主題を引き立たせることができます。被写体の位置と空間をどう使うか意識することが重要です。

 

◉ 不要なものをカットする

 

◉ アスペクト比を変更する

 

◉ 構図の微調整

 

◉ 構図の安定化

 

関連記事:写真の「アスペクト比」って大事なんです。というお話

 

 

トリミングとクロップの違い

写真の一部を切り抜くという意味ではどちらも一致しますが、トリミングは撮影後に切り取るのに対して、クロップは撮影時に切り取りをします。

 

クロップとは?

 

デジカメになってから使われている写真用語です。撮像素子の中央部分だけのデータを使って読み出しを高速化するとともに、画像の画角が変わりズームされた望遠効果のある写真が撮れます。

 

ニコンD2Xで初めてクロップが採用されました。1240万画素の中央部、680万画素を使うことで連写速度が速くなるというメリットがあり、画像もズームされて大きくなります。

 

最近の高画素カメラであればクロップが有効活用できます。フルサイズ4000万画素程度のカメラに50mmのレンズをつけた場合、APS-Cクロップ機能を使うことで画角は75mmと望遠になり、画素数は2600万画素程度に落ちるものの良好な画質を得ることができます。高画素機が増えてきた現在、望遠レンズを手に入れなくてもクロップ撮影で高画質な望遠撮影ができるようになりました。

 

◉ 撮像素子(画像)の中央部が切り取りされる

 

◉ 画像が大きくなり望遠効果がある

 

◉ 画素数が小さくなる

 

◉ 画素数の低下により連写性能が向上する

 

トリミングは構図を決定し作品性を高める作業なのに対して、クロップは撮影時に望遠効果を狙ったり、画素を小さくする、連写性能を上げるなど使用用途がトリミングとは別のものになります。

 

 

 

ノートリミングとは?

トリミングをしないことを言います。フィルム時代、主にプリントをする場合に使われていた言葉ですが、ネガに写っている一コマの写真全体を画像が切れないようにプリントすることを言い、「ノートリ」と略される場合が多いです。「4切サイズ、ノートリで」などと写真屋さんに指示を出して注文していました。撮影時に厳密なフレーミングをしてノートリミングでプリントをするのが理想ではありますが、カメラによってはファインダー視野率100%でなければ実際にファインダーで見た画面よりも広い範囲が写り込んでいるのでトリミングは必要になります。

 

ノートリでプリントをする場合、撮影したアスペクト比とプリントサイズの比率に違いがあると余白(余黒)部分が出ます。

 

初めは「引き算」から

「写真は引き算」というのは昔からよく聞きますね。カメラ初心者の人はまず「引き算」を意識してみましょう。構図をある程度決めて撮影をしても、見せたい被写体以外に余計なものが写り込んでしまったり、無駄な空間が空いてしまったり…あとでトリミングするから適当な構図で良いかな、と思わずにしっかりとフレーミングをしましょう。

帰ってからパソコンモニターで画像を確認すると、イマイチな仕上がりでフレーミングの甘さに気づくこともあります。もう少し画面を整理すれば良かった、などの気づきがあればトリミングをしましょう。ファインダーや液晶画面ではわかりにくいこともありますね。

この写真だと右側の白い柵に目がついてしまうのでトリミングをした方が良さそうです。

トリミング白い柵を切り取り画面がスッキリしました。

 

引き算に慣れてきたらあえて足し算というのもアリです。余計なものを引き算ばかりしていると面白味にかけるので、被写体の手前にこれを入れてみようとか、前ボケ、後ろボケを使って空いた空間に配置してみたりして画面に入れたい要素を増やしてみましょう。慣れてくると面白い作品に仕上がります。引き算の感覚が掴めたら足し算も意識してみてください。

 

トリミングの賛否

水たまりを飛び越えようとする男性シルエットの「決定的瞬間」

この作品を撮影した有名な写真家 アンリ・カルティエ=ブレッソンはトリミング嫌いだったということで、自分の写真はノートリミングだということを主張するために、画像の縁取りに黒い縁を焼き付けていたのは有名な話です。

 

トリミングをおこなう是非について賛否わかれる意見もあります。トリミングをすべきではないという意見として「撮影した瞬間のインスピレーションを殺すことになる」、「大きく拡大するため画質が悪くなる」という意見です。トリミングをすべきという意見は「創造の機会が増え新しい発見につながる」「整えることで見栄えがよくなり撮影意図をより明確にできる」というものです。

 

私はスナップ撮影が多いので、撮影後トリミングをすることが多いのですが、いまだにどうトリミングすべきか迷うこともあったりします。ブレッソンのようにノートリでリズムを感じる構図作りに憧れますね。ブレッソンの写真を見たことがないという人は、構図の参考になりますので本屋さんなどでブレッソンの作品集を手にとってみてください。

 

 

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