写真の「アスペクト比」って大事なんです。というお話
今回のお話は「アスペクト比」について。
カメラを始めた人の中には「なにそれ?」「なんとなく聞いたことある」と思われる人が多いと思います。これは「あすぺくとひ」と読み、写真の比率のことです。
多くの一眼レフやミラーレスではカメラの初期設定で決められているので、この設定を変更したことがないという人もいると思います。「アスペクト比」には色々な比率があり、用途に合わせてカメラの設定から変更をすることができます。このアスペクト比はなぜ変更する必要があるの?という疑問が湧いてくると思いますが、実は
アスペクト比によって写真の印象が大きく変わる
ということです!!アスペクト比は写真表現においてとても大事なんですね。また、写真の構図やプリントサイズにも大きく影響してくるアスペクト比。カメラ初心者の方へ向けて、またアスペクト比は知ってるけど、今まで設定を変えたことがないという人にも詳しく解説していきます。
アスペクト比とは?
アスペクト比とは画像の縦横比のことを言います。
カメラの種類やセンサーのサイズによって色々なサイズがありますが、一般的には4種類のアスペクト比が多く使われています。
◉ 3:2
フルサイズ、APS-Cサイズのデジタル一眼レフカメラやミラーレスに採用されている比率です。フィルムカメラで使われている35mmフィルムやAPSフィルムも同じく3:2です。
◉ 4:3
コンパクトカメラやマイクロフォーサーズのカメラに採用されている比率です。
昔のアナログテレビやパソコンモニターもこの比率が採用されていました。
◉ 16:9
ハイビジョンサイズとして主にビデオカメラに採用されている比率です。ハイビジョンテレビや映画の画面もこの比率です。スマホの画面比率でもあるので、YouTubeやTikTokなどの動画コンテンツで多く採用されています。
◉ 1:1
Instagramで採用されている正方形の比率です。最近のカメラやスマホではInstagramを意識して、この比率で撮影ができるようになっている機種が多いです。
アスペクト比に隠れた美しさ
「黄金比」という言葉を聞いたことがあると思いますが、これは比率で言うと
1:1.618
古来より人間がもっとも美しいと感じられる比率とされています。
黄金比はパルテノン神殿やミロのヴィーナス像といった歴史的建造物や美術品、近年ではデザインや絵画、写真の構図にとりいれられています。身近なものではクレジットカードや名刺のサイズ、アップルやグーグルのロゴも黄金比が使われています。
写真のサイズで言うと、学校の集合写真などのプリントで多く使われるグランドサイズが黄金比に近い比率になります。
また日本には「白銀比(大和比)」と呼ばれる比率があります。
1:1.414( √2 )
これはコピー用紙などの紙で表されるA4やB5といったサイズのことで、A1の長辺を折るとA2になり、A2の長辺を折るとA3になります。白銀比は長辺を折ることでさらに白銀比が生まれるという比率です。法隆寺や薬師三尊像といった日本古来の建築や仏像、日本絵画などに白銀比は多く使われているようです。
レンズの絞りも√2倍なのでカメラと馴染みのある数字ですね。写真用のフレームもA4サイズはたくさんの種類が発売されています。
写真のアスペクト比もそれぞれ写真表現のための美しい比率であり特徴があります。
アスペクト比とプリントサイズ
写真をプリントしたことがある人なら経験したことがあると思いますが、実際にプリントされた写真を見ると上下左右の画像が切れていた!なんてことありませんか?これは撮影した写真データのアスペクト比とプリントしたサイズの比率の違いによるものです。
例えばスマホのカメラで撮影した16:9の画像をLサイズでプリントした場合、画像データの比率(16:9)とLサイズのプリント比率(3:2)との違いから、横写真なら左右が切れ、縦写真なら上下が切れて仕上がってしまいます。
また、ミラーレスで撮影した3:2の画像をInstagramにアップしようとすれば1:1の比率になってしまい、この場合も上下左右が切れてしまいます。(Instagramは元の比率を選ぶことも可能)
きっちりと構図をとって撮影したのに出力先の比率と合わないとせっかくの写真が台無しです。撮影をするときはその写真をどのような比率で出力するのかによって、撮影データと出力サイズの比率を合わせる必要があります。
カメラのアスペクト比を変更してみる
◉ 3:2
もっとも一般的なアスペクト比です。写真と言えばこの比率でしょう。誰もが見慣れている比率のため安心感があります。被写体とのバランスも取りやすいです。
【最適なプリントサイズ】 Lサイズ、ハガキサイズ、2Lサイズ、ワイド6切りサイズ
◉ 4:3
3:2と比べて被写体が窮屈に収まる感じになります。縦位置にすると肖像写真や人物撮影に向いています。
【最適なプリントサイズ】 DSCサイズ、DSCWサイズ、6切りサイズ
◉ 16:9
現代的な比率です。YouTubeやTikTokの動画のサイズでもあり、スマホのカメラで撮影するときこの比率で撮影するとスマホ全画面で表示することができる比率です。
パノラマ感があるので風景撮影に向いています。
ただしプリントをするときは一般的なLサイズにすると、縦横の比率の違いから大きく画像が切れてしまうのでプリントには向かない比率です。
【最適なプリントサイズ】 HVサイズ(ハイビジョンサイズ)
◉ 1:1
Instagramの代表的な比率です。正方形の比率は被写体をより強調させ目立たせることができます。
【最適なプリントサイズ】 ましかく、スクエアサイズ
写真を撮るときにどのアスペクト比で撮影するのが最適なのかイメージできると表現の幅も広がりますね。意味のある構図づくりは写真の作品性を高めてくれます。