ロモグラフィー ダゲレオタイプレンズをレビュー!【作例つき】

金色に輝くこの筒はいったい何でしょうか?何やら筒に切り込みが入っていて貯金箱のようにも見えます。その正体はロモグラフィーから発売されている

 

「Daguerreotype Achromat 2.9/64 Art Lens」

 

ダゲレオタイプレンズというものです。

ダゲレオタイプアクロマート

ダゲレオタイプとは?

昔々のフランス、1839年に画家で写真家のダゲールさんという人が発明した、世界初の実用的写真撮影法のことを言います。ダゲレオタイプの大きな特徴はポジ画像をダイレクトに得られる写真技術であるということ。金属板の表面に直接像を焼き付けるために、複製は不可能で一枚限りの写真となります。鏡面のように磨き上げられた銀板に写り込むイメージは「記憶を持った鏡」と呼ばれ人々を驚嘆させたということです。当時は写真(記憶を持った鏡)は不可思議で、写真家を魔術師のように見ていたかもしれません。写真の発明はすごいことだったんでしょう。現在でも新井卓さんというカメラマンがこのダゲレオタイプの技法を使って写真撮影をしています。

 

今回ご紹介するロモグラフィーのダゲレオタイプレンズは、当時のダゲレオタイプカメラに搭載されていたアクロマートレンズ(世界初の光学レンズ)に発想を得たという商品です。アクロマートレンズとは「色消しレンズ」と言われ、屈折率の異なる、凹凸2枚のレンズを組み合わせることにより、色収差や球面収差の補正をするレンズです。

 

さて、ダゲレオタイプの発明から2世紀が経った現在、ロモグラフィーの復刻ダゲレオタイプレンズはどんな特徴を持つレンズなんでしょうか?

Daguerreotype Achromat 2.9/64 Art Lensの特徴は?

 

◉ レンズ仕様

焦点距離:64mm

絞り開放値:F/2.9

絞り:F/16までのウォーターハウス式

レンズマウント:Canon EF、Nikon F、Pentax K

カラー:ゴールド、シルバー、ブラック

最短撮影距離: 0.5m

フォーカスメカニズム:ヘリコイド式

イメージサークル:44mm

画角:37 度

フィルター径:40.5mm

電子接点:なし

レンズ構成:1群2枚

 

 

まずはずっしりとした鏡筒にびっくりさせられます。金塊を持っているような錯覚を覚えます。そしてこのレンズの最大の特徴というのが絞りの形式が「ウォーターハウス式」???初めて聞く言葉にびっくりしましたが答えはこれです。

ダゲレオタイプアクロマート

たくさんのプレートが付属してついてきます。星やハートまであってかわいいですね。ウォーターハウス式というのは、穴の空いた板をレンズの横にあるスリットから差し込む方式のことを言います。この形式はドイツやフランスの小規模レンズメーカーで採用されていたものということです。レンズの鏡筒にあった切り込みは、このプレートを差し込むためのものだったんですね。そしてこの異なる穴の大きさで絞り値をコントロールしたり、星やハートなど特殊な形のプレートはボケ部分にキャンバスのようなテクスチャーを加えたりと幻想的なソフトフォーカスの効果もあるそうです。この個性的なプレートを差し替えることでソフトフォーカスからシャープな表現まで、無限に楽しめそうですね。

ダゲレオタイプアクロマート

では早速、手持ちの富士フィルムのカメラに装着してみました!!

このダゲレオタイプレンズはニコンマウントのものでしたので、フジフィルムのカメラに取り付けるにはボディ側フジXマウント、レンズ側ニコンFマウントのアダプターを間に取り付ける必要があります。

ダゲレオタイプアクロマート

こんな感じです!マウントアダプターのせいでとても大きくなってしまいました。

しかも金色に光るピカピカのレンズの主張すること!これは街中では目立ってしまいますね。こっそりと撮影できる近所の公園へ行きました。平日の午後は人も少なくて良いですね。ピントはマニュアルフォーカスなので一枚一枚ゆっくりと撮影することになります。

ダゲレオタイプアクロマート

スタンダードなF2.9と書かれたプレートで撮影してみました。ふんわりと光がきれいに拡散して美しい滲みですね。ピント合わせはちょっとむずかしいです。次に穴の小さなF5.6のプレートで少し絞り込んで撮影しました。

ダゲレオタイプアクロマート

シャープな写りですね。かっちりとしたピントではありませんが、優しくシャープに写ってくれます。しかしピント合わせがむずかしいですね。一枚撮るのにかなり時間がかかってしまいます。この日は風も強かったので揺れるお花と金色に輝くレンズのピントリングをぐるぐる回し格闘すること10分。気がつけばやはり人目に晒されていました。おじいさまから声をかけられます。やはり金色に輝くレンズが気になったとのこと。プレートを差し込んで絞り値を変えることを説明すると、カメラのことをわかっているおじいさまは驚きの表情でした。人目について恥ずかしいので夜に撮影することにしました。

ダゲレオタイプアクロマート

夜も街灯などの灯がふんわりと良い感じに写ります。夜ならこの金色に輝くド派手なレンズも目立たず、ゆっくりと撮影できます。夜はさらにピント合わせの難易度が上がりますね。

ダゲレオタイプアクロマート

イルミネーションや車のヘッドライトなど点光源があれば特殊な形のプレートが楽しいですね。

ダゲレオタイプアクロマート

幻想的なボケ味と優しいシャープさと個性的なエフェクト効果を無限に楽しめるレンズですね。19世紀のフランスで誕生したアクロマートレンズを現代のカメラで多彩に表現してみてはいかがでしょうか?

ダゲレオタイプアクロマート

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