デジカメなのにフィルム風に撮れる?フィルムシミュレーションとは?
最近のスマホやデジカメは性能も良くなり、高画質な写真が誰でも簡単に撮れるようになってきました。しかし時代とは逆行するするように、オールドレンズで撮ったようなゴーストや少しピンボケが好まれたり、フィルムライクな写真が流行しています。きれいな写真を撮ることより雰囲気のある写真や味のある写真を好む人が多くなってきていますね。
フィルムシミュレーションとは?
富士フィルムのミラーレスカメラ、Xシリーズや中判デジタルカメラのGFXシリーズに搭載されている機能で、色味や階調ををコントロールするものです。昔からフィルムを作り続けてきた富士フィルムですが、人気の
「PROVIA」
「Velvia」
「ASTIA」
「ACROS」
といったフィルムの画質がデジカメで再現できます。フィルムメーカーだからこそできる色の表現の幅広さです。RAWデータで撮影して、あとからPhotoshopやLightroomといったレタッチソフトを使って自分の思うような色味や階調に仕上げることもできますが、富士フィルムはどちらかというとあとから加工して色付けするというより、その時の状況で色味を決めてレタッチソフトによる加工なし、補正なしの「JPEG撮って出し」で撮影を楽しむカメラという印象です。
私は基本的にはあとからレタッチソフトで加工や補正をするのは稀で、このフィルムシミュレーションを気分によって切り替えて撮影しています。デジカメを持つ前、フィルムカメラで撮影していた頃は、撮るものによってフィルムをセレクトして撮影していました。普段の撮影は「SUPERIA」や「業務用フィルム」人物撮影の時は「ASTIA」ライブ撮影の時はISO3200の高感度フィルムでザラついた粒状感を出したりと使いわけていました。この富士フィルムのフィルムシミュレーションは撮影する被写体によってフィルムを入れ替えるように撮影を楽しむことができます。
フィルムシミュレーションは全部で18種類
私は普段は「PROVIA」や「ASTIA」、「Pro Neg.Hi」という設定で撮ることが多いのですがさらにフィルム風にノスタルジックな雰囲気を出したい時は「クラシッククローム」や「クラシックネガ」を使います。さらにフィルムのような質感に仕上げるには画質設定でシャープネスを低くしたり、ノイズリダクションも低めに設定すると粒状感が出てフィルム感が増します。色味はホワイトバランスシフトを使い、緑を強くしたり、黄色を強くしたりすると色カブリしているように写りさらに良い感じです。
このフィルムシミュレーションと画質設定、ホワイトバランスシフトを使いこなせるようになると、その場でささっと設定して撮影し、テンションの上がる一枚に仕上げてくれますよ。また、どのフィルムシミュレーションを使うか迷う時は、フィルムシミュレーションBKT(ブラケティング)という機能を使うと便利です。この機能を使うと一度のシャッターで設定しておいた3種類のフィルムシミュレーションで同時に撮影してくれるので、あとから好きな写りのものを選ぶことができます。
動画撮影でもこのフィルムシミュレーションは使うことができます。特にX-T4やX-S10に搭載されている「ETERNAブリーチバイパス」は銀残しというフイルム現像技法を忠実に再現したもので、コントラストはあるのに彩度が低く抑えられた画像が得られ、それだけで映画風に撮れてしまいます。
RAWデータで撮影しておけばフィルムシミュレーションを後から選択できる
おすすめの使い方はRAWデータで撮影しておくことです。その場の空気感を大切にフィルムシミュレーションをセレクトするのも良いのですが、あとからゆっくりといろんなフィルムシミュレーションを選んでみるのも新しい発見があったり、意外な仕上がりになったりして面白いんです。再生ボタンからカメラ内RAW現像の機能がありますので、モニターをみながら設定することができます。Qボタンを押さないと効果は反映されないのが少し面倒ではありますが、何度もやり直しができます。
カメラのモニターでは小さくて見づらい場合、パソコンに直接カメラを接続してRAW現像をすることもできます。「FUJIFILM X RAW STUDIO」というソフトウェアが富士フィルムの公式ホームページからダウンロード可能ですのでそちらを使ってください。カメラとパソコンを接続するので、作業自体はパソコンモニター上でできますが、カメラ側の画像処理プロセッサーを使用して処理がされるので、サードパーティー製の現像ソフトを使うより精度が高く、富士フィルムの意図する画質が得られます。
現在18種類のフィルムシミュレーションですが、その他の画質設定と組み合わせて使うことで表現は無限に広がり、理想的なJPEG画質を作り上げることが可能です。好きな映画のような色味を作ってみたり、カスタム登録してオリジナルの色味を使い分けるのも面白いですね。