画素数ってどれぐらい必要?
「このカメラは2,000万画素だから、こっちの2,400万画素のカメラの方が画質はきれいですね?」というはなしを良く聞きます。
じつは画素数=画質ではありません。
この一言、これからカメラを買おうとしている人にドヤ顔で言ってみてください。できる人と思われるでしょう。しかし、なぜ?どうして?と解説を求められて答えられなければ評価は急降下します。本気で勉強するか、右から左へ話を受け流す処世術を学びましょう。確かに画素数の数値だけを見ると、少しでも高画素の方が画質は高精細です。しかし写真の画質を決める要素は主なものとして
・カメラの画素数
・撮像素子(イメージセンサー)の大きさ、性能
・ローパスフィルターの特性
・画像処理エンジンの性能
・レンズの性能
いろんな機能が複合して写真の画質というものは決まります。
実は300万画素あれば十分かも…
かつてカメラメーカーは、新機種が発売されるたびにカメラの画素数を上げていくという画素数競争が起きていました。一旦落ち着きを見せたものの、2019年の9月に発売されたソニーのα7RⅣが6,100万画素という高画素カメラを発売したもんだから、他のメーカーも高画素カメラを開発、発表し画素数競争が再燃している状態です。
最近のデジカメは2400万画素ぐらいが主流で、高画素カメラと呼ばれている機種の中にはとんでもない画素数のカメラもあります。富士フィルムのGFX100というカメラは1億200万画素あります。写真データ1ファイルのファイルサイズはRAWデータの場合、200MBになるというから大変です。パソコンにデータを取り込んだらハードディスクが爆発するんじゃないかと思うレベルです。
さて、この画素数。自分が必要としている画素数はどれぐらいだと思いますか?撮影した写真の用途に合わせて推奨画素数というものがあります。
【SNSやホームページに掲載したり、メールで送りたい場合】
スマホやパソコン画面だけで写真を見るだけなら50万画素から200万画素程度あれば十分な画質になります。高画素で撮ってもファイルサイズが大きいため、WEB上にアップロードする時にリサイズされて画素数はさがります。
【写真をプリントする場合】
Lサイズ(89mm×127mm) → 200万画素程度
2Lサイズ(127mm×178mm) → 300万画素程度
A4サイズ(210mm×297mm) → 900万画素程度
A3サイズ(297mm×420mm) → 1,400万画素程度
つまり、普段は撮影した写真をSNSに投稿したり、スマホ経由で写真を友達に送ったりする程度、プリントするとしても2Lサイズぐらいまでなら300万画素で事足りるというわけです。もしかしたら大きくプリントもするかも、という感じで一般的な用途であれば1,400万画素あれば十分な画質を得ることができます。
ただし、コンテストに応募する場合や自身の写真作品として残したい場合は、最終的に大伸ばしプリントやトリミングをすることも考慮して、手持ちのカメラで撮れる最高の画素数で撮影してください。
カメラの撮影サイズを変更してみましょう
写真をどう残したいかによって必要な画素数が理解できれば、カメラの撮影サイズを変更してみましょう。用途に合わせた最適な画素数で撮影することで写真一枚あたりのデータ容量を減らすことができます。
カメラの設定で記録画素数や画像サイズというものが設定できます。だいたいどの機種、各メーカーでもL、M、Sという表記です。
(縦横比が3:2の場合)
L:24M ( 6048×4024画素)
M:13M (4528×3016画素)
S:6M (3024×2016画素)
SDカードがいっぱいになってしまったら新しいSDカードを買ったり、パソコンに保存したりと無駄に大きいファイルサイズは本体容量を圧迫してしまいます。最適な画素数で撮ることで無駄に大きいファイルサイズにならないので、SDカード1枚あたりの撮影枚数も増えるし、パソコンへデータを転送するスピードも速くなります。そしてハードディスクの容量も圧迫しません。
高画素カメラだけじゃない。低画素カメラもあります。
【低画素モデル】
・ソニー α7sIII(1,210万画素)
・パナソニック GH5s(1,028万画素)
画素数が少ない低画素モデルのカメラです。古いカメラという訳ではなく、メーカーの現行品です。高画素ブームのなか、どうしてわざわざ低画素のカメラを発売するのか?というと、低画素カメラの特徴は高感度撮影でもノイズが極端に少ないので、暗い場所でも滑らかで黒が締まった写真や映像を撮ることができます。逆に高画素のカメラで高感度で撮影をするとノイズが多く、ザラついた画質になってしまいます。高画素を必要としない動画ユーザーに人気のモデルです。暗ければ暗いほど撮りたくなり、ノイズが少なく滑らかな画質にニヤニヤできます。
【高画素モデル】
・ソニー α7RⅣ(6,100万画素)
・ニコン Z7(4,575万画素)
・キヤノン R5(4,500万画素)
高画素のカメラは、細かい部分まで高精細に写し出してくれます。商品の撮影や風景の撮影、文化財のデジタルアーカイブとして残すことの用途に向いています。また、飛行機や野鳥撮影では大きくトリミングしても画質劣化が少ないのでトリミング耐性があることも重要です。しかし細かな部分まで高精細に写すにはカメラの性能だけでなく、センサーに光を届ける役割をするレンズの性能の良し悪しが大きく影響してきます。高画素カメラの性能を活かす条件として、高性能なレンズを選択する事が重要です。細かい被写体ほど使いたくなる高画素カメラ、撮影した画像を大きくズームしてニヤニヤできます。
ソニー α7RⅣ(6,100万画素)で撮影
極端なトリミングをしても画質は保たれています。
必要な画素数が理解できましたか?私の友人はSNSで写真をアップするぐらいでしか使わないということで、2008年モデルの一眼レフ、ニコンD90(1,230万画素)を15,000円ぐらいで購入していました。古いカメラでも良い描写だし、データ容量が軽いので古いパソコンでもサクサク動くと大絶賛して使っています。(※ただし高感度撮影に関しては古い機種だとノイズだらけです。光が十分で明るい日中の撮影なら問題なくきれいな画質ですよ。)高画素ブームですが低画素でもOK!用途に合わせた画素数の設定をして撮影を楽しんでください。