記憶色と記録色

みなさんは「記憶色」や「記録色」と言う言葉を聞いたことがありますか?写真を撮っている人なら一度は耳にしたことがある言葉かもしれません。写真を撮っていて、実際に撮れた写真をあとから見て

 

「あれ?こんな色だったかなぁ」

 

「もっときれいな色だったのにちゃんと撮れていない」

 

と思ったことがありますよね。これは写真の

 

「記憶色」「記録色」

 

が関係しています。

 

カメラの目と人間の目にはもちろん違いがあります。カメラが捉えた色と、人間の目に記憶として刻まれた色には違いがあります。これが記録色と記憶色の違いです。

 

今回は写真の「色」についてお話します。

 

記憶色とは?

撮影者のイメージや記憶に近い色のことで、実際の正確な色とは違うこともあります。記憶色は個人差もあり、人間の脳に記憶された色は実際の色よりも鮮やかに強調されて記憶される傾向があるようです。

記憶色

 

わかりやすい話としてサクラの花の色があります。サクラの花をイメージするとき、ピンク色を思い浮かべる人が多いと思いますが、実際にはソメイヨシノなどは白に近い色です。サクラ=ピンク色というのが記憶色になります。

記憶色

 

記憶色と聞くと、写真家 野呂希一さんの「記憶色」という写真集を思い浮かべる人もいるでしょう。この本の中では季節や時間ごとにめまぐるしく変わる日本の四季折々の風景写真が掲載されていて、心の奥に深く刻まれた色の印象を「記憶色」として、写真と共に色の名前や季節の言葉を紹介しています。

 

夕方の風景写真を撮影し、その写真にタイトルをつけようと考えたとき、日本語にはたくさんの表現がありますね。夕闇、黄昏、薄明、日暮れ、逢魔時など、夕方であることを表現する言葉がたくさんあるように、色を表現する日本語もたくさんあります。青色ひとつとっても群青色や紺色、藍色と日本語はイメージに対する表現の言葉が多くあります。それゆえに記憶色に対する個人のイメージも多彩であると考えられます。

 

記録色とは?

記憶色に対して、「記録色」というのはカメラが撮影した際に記録される色のことを言います。カメラ内のセンサーによって保存された色で、メーカーによって記録色には違いがあります。

 

「記憶色のキヤノン」

 

「記録色のニコン」

 

というのは昔からよく言われています。キヤノンは人物の肌色をほんのりピンク色に仕上げ、きれいに再現してくれる「記憶色」よりの色再現と言われています。ニコンはありのままを忠実に「記録色」よりの色再現で風景撮影に向いていると言われています。またペンタックスは緑の色再現が鮮やかであったり、ソニーは彩度がやや抑えぎみなど、カメラメーカーによって色再現には特徴があります。

 

記憶色Nikon D90で撮影

 

期待色とは?

撮影した写真において「こういう色に仕上がって欲しい」と期待している色のことを言います。記憶色と同様、実際の色とは違うことがあります。

 

たとえば人物撮影で女性のポートレート写真を撮るとき、実際の人肌の色は少しくすんだ黄味がかった肌色ですが女性の肌を白く、明るくなるように仕上げることが多いと思います。実際よりも白く明るくしたいというのが期待色になります。

 

デジカメで撮影をすると「もう少し色味をはっきり出したい」とか「もう少し彩度を低く仕上げたい」といろいろと出てくる欲望をレタッチという方法で解決することができますね。色味をあとから作り込むことができるので、デジカメになってからは「期待色」で作品を作る人も多くいるのではないでしょうか。

 

以前、写真雑誌「アサヒカメラ」の特集で風景写真の「インスタ映え」を狙ったレタッチしすぎ問題が特集されました。自分のイメージする「記憶色」からレタッチが始まり「期待色」に仕上げた結果、夕焼けがびっくりするほど赤すぎたり、青空や海の色が鮮やかすぎるブルーになっていたり、自然を写した写真が不自然な写真に仕上がっていることを写真家が一喝するという記事で、当時この記事内容についてSNSで賛否両論ありましたね。

 

撮った写真を自分の理想に近づけるためレタッチによって加工をすることはデジカメならではだと思いますが、アプリやパソコンを使っていろんなことが簡単にできすぎるんでしょうね。

 

昔、フィルムカメラしかなかった頃は白黒フィルムなら現像の仕方で粒状感やコントラストを変化させたり、カラーフィルムで彩度の高い写真を撮ろうと思えば露出のシビアなベルビアやフォルティアというリバーサルフィルムを使っていました。また、ソフト効果をだすためにレンズ前にワセリンを塗ったり、息を吹きかける、ストッキングをかぶせるなど写真を自分の理想に近づけるため試行錯誤をしながら撮影をしていました。いまはソフト効果なんてレタッチソフトのボタンひとつ、スマホのアプリで簡単にできますね。

 

記憶色、記録色、期待色と理解した上で、JPEG撮ってだし派はカメラ側の設定で、RAWレタッチ派はパソコン、カメラ内現像でデジカメだからこそできる理想の色を再現してみましょう。

 

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