ズームレンズと単焦点レンズの違い
カメラ初心者のみなさまへ、またこれからカメラを始めてみようと考えている方へ、今日はレンズのお話です。レンズが交換できる一眼レフやミラーレスカメラはレンズ交換をすることで、スマホやコンパクトカメラでは表現しきれない世界を写すことができるのが魅力です。そこでレンズの話でよく聞く「ズームレンズ」と「単焦点レンズ」の違いや使い分けの仕方を今日は詳しくお話していきます。
レンズの基本は焦点距離
焦点距離とは?
レンズには〇〇mmなど数字が記載されています。この数字がレンズの焦点距離になります。焦点距離によって撮れる写真の範囲(画角)が変わります。焦点距離の数字が小さいほど広い範囲(画角)を写すことができ、逆に数字が大きいほどより遠くの物を大きく写すことができます。
35mmで撮影
200mmで撮影
◉ ズームレンズとは?
一本のレンズで焦点距離を変えて画角を変えることができるレンズのことをズームレンズと言います。一眼レフやミラーレスカメラを購入するときにキットでついてくるレンズはズームレンズが多くなっています。
・12-24mm(広角ズームレンズ)
・24-85mm(標準ズームレンズ)
・100-400mm(望遠ズームレンズ)
といった表記のレンズです。24-85mmのレンズなら24mmから85mmの焦点距離で撮れるレンズということです。焦点距離を変えるためのズームリングがついています。
◉ 単焦点レンズとは?
ズームレンズに対し、焦点距離が一つに固定されたレンズのことを単焦点レンズと言います。
・16mm(広角レンズ)
・35mm(標準レンズ)
・135mm(望遠レンズ)
焦点距離は固定で変えることはできません。ズームリングもついていません。
ズームレンズと単焦点レンズで画質の違いは?
ズームレンズと単焦点レンズで撮り比べるとわかりますが、画質の違いはあります。
単焦点レンズの方がズームレンズより画質は良いです。一つの画角のみに最適化したレンズの設計がされているからです。また、逆光時のフレアやゴーストなどの画質劣化を防ぐ役割をもつレンズフードも、画角変化がない単焦点レンズではその画角に合わせて最適化されています。ズームレンズの場合、広角側でフードの設計がされているため望遠側ではフードの効果が弱い場合があります。
レンズの構成枚数についても単焦点の方が中のレンズ構成枚数は少なく、収差と呼ばれる画質劣化を引き起こす原因も少なくなります。そして入ってくる光のクオリティも高くなるため、良い画質が得られるということです。ズームレンズはレンズ構成枚数も多くなり、レンズがたくさんあるということは収差も多くなります。そのため入ってくる光も単焦点より少なくなります。
最近のズームレンズは画質は問題なくきれいですが、18-300mmなどの高倍率ズームレンズと呼ばれているものは、一本で広角から望遠までカバーできて便利なレンズですが、画質面が劣り犠牲になっているものが多いです。
またF値についても単焦点レンズの方がたくさん光を取り込むことができるため、F1.4やF2など明るいレンズが多いです。開放F値が小さいということは被写界深度が浅くなり、背景ボケの大きな画質が得られます。
ズームレンズと単焦点レンズはどう使い分ける?
◉ ズームレンズのメリットとデメリット
【メリット】
・一本でいろんな焦点距離が撮れるので荷物が減る
・画角が変えれるので近づけない被写体でも大きく撮れる
・レンズ交換の手間がない
【デメリット】
・単焦点レンズと比べてF値が暗い
・高倍率ズームになるほど画質の劣化がおきる
・レンズ内のレンズ枚数が多いため、大きくなり重くなる
◉ 単焦点レンズのメリットとデメリット
【メリット】
・画質が良い、ズームレンズよりボケる
・ズームレンズと比べてF値が明るい
・軽量
【デメリット】
・いろんな焦点距離のレンズが必要になり、荷物が増える
・画角が固定されているので自分の足で移動しなければならない
・レンズ交換の手間がある
それぞれのメリットとデメリットを理解した上で、撮影時に何を優先させるかでレンズのセレクトをしてください。風景写真や撮影地の状況がわからない場合はズームレンズが便利だし、暗い場所や画質を優先させたいときは単焦点という選び方になります。
カメラ初心者はどんなレンズを使ったら良い?
この記事を最後まで読まれた方は、カメラを購入予定もしくは既にカメラをレンズキットで購入して、ズームレンズは持っているけど、単焦点レンズに興味が出てきた方だと思います。用途に合わせてレンズをセレクトする必要があります。
◉ 撮りたいものが決まっていない場合
18-55mm(35mm換算 27-84mm)など標準ズームレンズ
◉ 乗り物や動物、スポーツを撮りたい場合
55-210mm(35mm換算 82-315mm)など望遠ズームレンズ
◉ 画質よりも機動力重視の場合
18-300mm(35mm換算 27-450mm)など高倍率ズームレンズ
◉ 風景をきれいに撮りたい場合
16mm(35mm換算 24mm)程度の広角の単焦点レンズ
◉ 人物や日常の風景をきれいに撮りたい場合
35mm(35mm換算 53mm)や50mm(35mm換算 76mm)程度の標準の単焦点レンズ
単焦点レンズを試してみたい人は、まずズームレンズで自分がよく使う焦点距離を把握してから、その焦点距離の単焦点レンズを購入するというのがおすすめです。単焦点レンズならズームレンズにはない美しいボケで一味違った表現が可能になりますよ。ぜひご自身の撮影スタイルに合わせてレンズのセレクトをしてみてください。